9月議会・川崎敏美議員の一般質問の発言です

第1登壇

総合治水対策について

 日本共産党議員団の川崎敏美です。私は浸水対策、地域振興体制、道徳の教科化、低所得者への熱中症対策について、質問してまいります。最初に浸水対策、その中でも主に内水対策の雨水貯留管にかかわる問題について、質していきたいと思います。この工事を現状では着工すべきでないとの陳情が提出されていますので、建設消防企業常任委員会では及ばない部局に対して主に質問させていただきます。

 兵庫県では、全国に先駆けて、2012年4月1日に『総合治水条例』を施行し、この条例に基づいて、地域総合治水推進計画を策定し、県・市町・県民が連携した総合治水を推進しています。この条例を制定する目的として、「近年、開発や都市化の進行、多発する局地的大雨により、従来よりも雨水の流出が増え、浸水による被害が拡大しています。そこで、これまでの”ながす”対策(河川下水道対策)に加え、雨水を一時的に貯める・地下に浸透させる”ためる”対策(流域対策)や、浸水してもその被害を軽減する”そなえる”対策(減災対策)を組み合わせた『総合治水』の取組が重要」としています。そして河川の流域や地域特性等から県を11地域に分け、各地域において総合治水を推進する計画「地域総合治水推進計画」の策定を規定しています。尼崎にかかわる計画は2つあり、猪名川流域圏の阪神東部と武庫川流域圏の阪神西部の推進計画で、計画期間は2014年から10年間としています。また、尼崎でも昨年2017年8月に「尼崎市総合治水対策基本ガイドライン」を定めています。従来の治水対策にたいする考え方を修正し、新しい取り組みが示されています。

Q1.この計画に基づく尼崎市の治水対策の主要な取り組みは、どのようなものがあるのでしょうか?流域対策、減災対策の具体的な例を示してください。

 今年の3月議会で、武庫地区雨水貯留管の整備事業の予算が成立しました。我が会派は今度の計画については、住民合意が得られなければ、工事着工はするべきではないとして、予算には賛成しました。その後7月から住民に対する説明会が開催されてきましたが、住民からは様々な疑問や問題点を指摘する声がたくさん挙がっていました。そこで、日本共産党議員団は、8月27日「雨水貯留管問題を考える学習会」を住民とともに開催しました。議員団が、下水道部に質問をし得られた回答を市民に知らせることと、国土問題研究会の副理事長の中川学氏を招いて専門家の意見を聞きました。この学習会のなかで住民からは、「この計画はいつ頃から検討され、市民や議会にどのように説明されてきたのか?」との疑問が出されました。住民のみなさんにとっては今回の建設計画は寝耳に水の話だという事でした。総合治水の推進に関する基本的な方針には、県市及び住民が相互に連携を図りながら、協働して総合治水を推進する。また、住民は自治会等が主体 となって、住民に総合治水を理解してもらうための取り組みを推進するとあります。

Q2.こうした県の方針に基づく、これら総合治水の考え方や具体的な計画の住民への周知徹底を、これまで市はどのように行ってきたのでしょうか?

 私たちが行った学習会で専門家から出された内容として、「浸水対策は川の氾濫、洪水による外水、大雨による内水対策を総合的にとらえていくことが必要」との問題提起がなされました。今回の雨水貯留管の建設計画は、内水浸水対策としての計画ですが、河川の氾濫などの総合的な防災・治水対策の中でどのように位置づけられている計画なのか、これまでの当局の説明会での説明では不十分でした。また県の総合治水対策のなかでは、流域・減災対策としても、貯留管も含め、学校や公園を活用して貯留地や貯留槽をつくっていく計画等がうたわれています。

Q3.尼崎市の総合治水対策で、基本ガイドラインでは、各戸貯留は2012年から4年間で整備されているものが計120戸とされていますが、これ以外の校庭貯留、公園貯留、駐車場貯留、水田貯留の整備はどうなっているのでしょうか?

公共下水道武庫分区雨水貯留管整備事業の区域の学校・公園等でどれくらいの量を貯められるのか、下水道課に試算を求めました。空から直接的に降る雨水の量、しかも10年確率の雨が今より降った分だけ4.9ミリしかたまらないとの計算で出てきた雨水量は約970㎥でした。他からも引水、誘導してくることでもっと多くの水量を貯めることができるのではないのか、基本ガイドラインで公園貯留は20センチとしていますので、計算しなおすと、雨水貯留管の20,000㎥を超える約39,500㎥となります。宇治市では積極的にこれらの対策を進めていることも専門家から紹介されました。学校や公園を活用して貯留地や貯留槽をつくっていく計画は、地下に施設を建設するよりも、地上にあって住民から目に見える治水対策は、住民の防災意識をたかめる、費用も安価ですむし、目に見えない地下の建造物より優位性があると、専門家の意見としても述べられていました。

Q4.総合治水の考えを共有し、また雨水貯留のための用地を提供してもらうためには、学校や公園管理などとの調整、連携が必要です。貯留水のための施設提供を求められたとき、教育委員会および公園課はどのように対応されますか?

以上で第1問を終わります。

第2登壇

 貯留管問題に対する意見まとめ、学校・公園の貯留施設は、まだまだ整備できる余地を残しています。全体を整備しようとすればその整備率は1割にも及んでいません。目に見える対策を全市に広げ、住民の防災意識を高めるべきです。また浸透管や浸透枡の整備は東に比べて西側は未整備状態であり、いきなり地下に巨額のお費用をかけて、貯留管を建設することよりも、この効果を再検証した上で、被害が予想される低地への対策を集中的に行うべきではないでしょうか。

次に地域振興体制の見直しとともに、市の様々な計画に対する住民合意のプロセスの問題を取り上げます。

 市民合意をどのように築いていくのか、市民には様々な意見があります。これまでは、町会に知らせ、異論が出なければそれを合意とみなしてきたのではないか?町会への加入率が低いところでも、町会だけの判断を住民の意見とみなすのが正しい判断なのか?という声が上がっています。雨水貯留管の説明会で、担当課は住民に理解を得るために、大変な努力をされています。しかし担当課だけが苦労していることに、私は納得することができません。本来、市はもっと計画を策定していく初期の段階から、また総合的な治水対策についても、市の情報を住民と共有し、住民に説明・議論を行うべきだったのではないでしょうか。市はどのような計画でも、住民とともに考える姿勢を貫くべきです。そのためには、1、計画は徹底した住民との合議のなかで決定していくこと。2、議論が大きく分かれる問題については、住民投票を行うなど、市政へ住民参加の機会を増やしていく取り組みを行うこと。3、住民から理解が得られたと判断する住民合意の基準を示すべきです。4、地域振興センターの果たす役割をもっと強化すべきです。日常的に住民との接点を強め市政とのパイプ役とならなければと考えます。

Q5. 以上の点について、今後の地域振興の見直しのなかでどうしていくのか?市長の所見をお聞かせください。

低所得者の熱中症対策について(エアコン設置)

 生活保護利用者に上限5万円までのエアコン購入費と設置費用の支給を認める厚労省通知が出されました。昨年までの暑さとは異次元の猛暑であり、気象庁も今年の暑さは災害であると認めています。市民の暮らしの実態も、大変な状況となっています。その実例を少し挙げさせていただきます。①心臓カテーテルを行っており、医師から涼しいところで過ごすように言われているが、エアコン設置から24年たっており動かない、②クーラーは5年前に壊れた、陽当たりの良い文化アパートで、夜中の1時ごろまで畳が熱を持ち、横になれない、③週3回人工透析をしており、医師から24時間エアコンを使うことと、外出を控えるように言われ、そうしていたら7月は電気代が2万円を超えた、食費を削らなければならなくなった、④ある病院のケースワーカーからは、熱中症で入院した24名中9名が生活保護利用者、10名が市民税非課税者、保護利用者の6名は自宅にエアコンがないので、治療しても自宅に返せないとのお話を聞きました、⑤社協の貸付制度を利用しても、手続きも複雑で、申請から決定まで2か月ほどかかり、そこからの設置となるため間に合わないとあきらめている市民がいます。市民のこのようなこの夏の生活実態から、多くの人にエアコン等の設置補助が求められています。今年の夏の熱中症で救急搬送された数は、昨年が302人(全体2251人)であったものが、今年は593人(全体2584人)と約2倍に及んでいます。また熱中症で亡くなられた方も市内で2名となっているとのことです。

Q6.国のエアコンへの補助制度の対象となる市民への周知徹底はどのようになされたのでしょうか?又その対象者は何人でしたか?

Q7.生活保護利用者の世帯数と人数は何人で、そのうちエアコンを設置している世帯はどのくらいを占めているのでしょうか?

Q8.生活保護利用者でこの制度を利用した人は何人となるのでしょうか

 国の今回の通知による助成制度は、大変限定的なもので不公平なものとなっています。国の通達は、エアコン補助の対象を、4月以降の転居者と生活保護利用者に限定しています。公平性・平等性を担保するとともに、市民の命と健康を守るという点からも、この制度の活用を4月以降の保護開始を行った利用者に限定することを改めるべきではないでしょうか、また、生活保護利用者以外にも制度拡充が必要です。せっかくエアコンを設置しても電気代を倹約するために使わない人も多く見られます。議員団も7月26日にこれらの市としての対策を求めましたが、市はなかなか実行に移そうとしていません。改めて他市の先進実例を紹介します。相馬市は、生活保護利用者だけにとどまらず、65歳以上の低所得の高齢者に3万5千円の補助制度を設けています。荒川区は助成対象の世帯を広げています。①65歳以上のみ、②身体・知的・精神障害者や要介護4以上の人がいる③未就学児がいる、以上のいずれかに該当の世帯で、自宅にエアコンがない場合が対象とされ、救済対象を大きく広げています。そして、エアコンや冷風機扇風機、除湿機など2点までの購入代金と設置費用を、5万円を上限に助成しています。

Q9.あらためて、次のことを要望するとともに、市の見解を求めます。①エアコン助成の対象枠を大きく広げること、②さらに電気代の負担を軽減策として、関西電力に申し入れる、③夏季手当の創設を国に申し入れる、④社協の貸付制度は手続きが困難、簡素化するなど利用しやすい制度にする。

道徳の教科化について

 今年度より小学校において、道徳の教科化が開始されています。教科書検定の際、小学校低学年用の教科書では、学習指導要領の「郷土の文化や生活に親しみ、愛着をもつ」との項目に基づき、「パン屋」を「和菓子屋」に修正したという問題がありました。まだ記憶に新しいことだと思います。私は、「パン屋より和菓子屋を愛する方が、正しい『郷土愛』だ」と「教科」として教育しようという感覚は、「自分たちの価値観は正しいのだから、それを押し付けて良い」という空気を産み出してしまうと感じています。

Q11.お尋ねします。教科化されてからの道徳科の授業は、これまでの道徳の授業とどのように変わっているのでしょうか?また、教科化となれば評価システムが問われます、道徳は算数などの教科と違って、回答が決して一つではありません。ですから、一人一人の子どもに点数をつけることは、大変困難だと思われます。尼崎市はどのような対応をされているのでしょうか?

 国が道徳の教科化を推し進める直接的な契機は、2011年10月の大津市のいじめ事件であるとされています。しかしその背景には、第1次安倍内閣が2006年の教育基本法の改正によって、その第2条「教育の目標」に「我が国と郷土を愛する」などの項目を規定し、それに沿って日本の学校教育内容を強力に管理する仕組みをつくり出してきたという事があります。そして第2次安倍内閣では、憲法9条の解釈改憲を強行、集団的安全保障の論理で海外で戦争する仕組みを整えようとしています。安倍教育改革のねらいはこのような意図のもとに、学校教育の教育内容を改変し、国民の思想や価値観を管理し統制していくことにあると、私は思います。今の子どもや若者が様々な困難にさらされ、自尊感情や未来への希望を奪い取られ友達や大人社会を信じることができなくなり、人間不信に陥り、時には自分が生きていることそのものを呪うほどに追い詰められている状況があります。それを切り拓き、子どもと若者に希望をもたらす教育を創り出すこと、その一環として子どもと若者の道徳性の形成は不可欠の課題だと思います。しかしその課題は、子ども・若者の心のありようだけを問題にし、彼らの内面的な行動規範だけを組み替えることではありません。もし、社会の側には根本的な問題がないという事になれば、すべてを子供や若者の心のありようの問題として処理するならば、社会や政治の責任がすべて押し隠されてしまいます。社会に目を閉じさせ、社会の不正義を問わないままに、すべてを自分の弱さや努力の足りなさとして放置する「自己責任論」は、人間の道徳性の本当の発達を押しとどめるものですらあると思います。私は、道徳教育も個人の尊厳・民主主義を土台にすえるべきだと思います。民主主義社会の道徳教育は、すべての人に人間の尊厳があることを土台にし、子ども一人ひとりの選択による価値観形成を大切にする、市民道徳の教育として行われることが大切だと考えます。戦前の封建的な道徳教育のようになってはいけません。ところが安倍政権は「道徳の教科化」によって、国が教科書検定などを通じて上から子ども、ひいては国民の道徳を管理しようとしています。このような国定道徳の押しつけに反対するものです。憲法や子どもの権利条約などの学習、いじめや人間関係のトラブルなどをみんなで解決していくクラス討論や学校行事などの自治活動、すべての授業や生活で子どもが人間として大切にされ体罰などがきびしく批判されること――そうした教育全体の営みをとおして市民道徳の教育が行われるようにすべきです。「道徳の時間」はそれらの一つとして位置づけてこそ有効なものになります。また愛国心についての教育は、戦前の偏狭な愛国心をともなっておこなわれた植民地支配と侵略戦争の歴史の問題を伝えてこそ、世界の人々と共生できるものとなりえると考えます。

Q12.道徳教育はいかにあるべきか、教育委員会の見解を求めます。

第3登壇

住民合意の形成の考え方として、長年水俣病や有明訴訟等の裁判に携わってきた、福岡の馬奈木昭雄弁護士の言葉を紹介しておきます。「行政の「説明責任」について、行政は自ら行う事業や施策について、行政の立場の説明を住民に行い、理解を求めることだと考えている。しかしそれだけであってはならない。私たちが生活する近代市民社会において求められているのは「住民の合意の形成」であり、行政の説明はその合意形成に必要な、検討のための資料となるべきデータの提供と合意形成の場の提供である。このことがすなわち本来のあるべき意味でのアセスメントである。」と述べられています。国と自治体や公害企業を相手に行政裁判を闘ってこられて方の大変重い言葉だと思います。尼崎市こそ参照すべきではないでしょうか。道徳化の評価について、法政大教授佐貫浩は自著でこのように述べられています。「記述式であっても評価が行われることの問題性は大きい。もちろん、道徳性の指導で、教師は、子どもの態度や価値意識を評価する。評価なしに教師の指導は成立しない。しかしそれは、子どもの指導の方法をつかむための教師の専門性をかけた営みである。それは子どもの人間としての値打ちを評価するためのものではない。教師と子どもという教育的指導関係のなかにおいてのみ生きて働く評価なのである。その評価を、指導の場と時間を離れて、子どもの人格への評価として記述し、他者にその子どもの人格的価値としての評価として読み取れる状況をつくり出すことは教育の基本原理に反する。加えて「徳目」の提示と「評価」とが行動評価として結合されるとき、「建前」を演じることを子どもに求める力学が働き、その評価と管理が徹底するときには、行動主義的な訓練を通した人格統制が進行する。国旗・国家への忠誠訓練はそういう性格をもってきている。それらの行動管理が、偏狭なナショナリズムと結びつくときには、国民を現実の国家政策へ同調させていく力学が生み出されていく」と。 道徳の評価については、単に記述式であるからそれで良いとの考えはよくよく検討すべきです。