6月議会・松沢ちづる議員の一般質問の発言です

 日本共産党議員団の松澤千鶴です。私は、障害福祉サービスについて質問します。まず、市町村が実施する地域生活支援事業に位置付けられる、移動支援事業についてお聞きします。この事業は、事務事業評価で、障害者総合支援法に基づき、障害者または障害児の地域における自立生活および社会参加に必要不可欠な事業とされています。ところが、尼崎市は阪神間の他の市に比べ事業費が突出しており、国の補助金制度に照らしても市の多額な超過負担が生じているとして大幅な見直し行い、2017年10月から「移動支援事業支給決定基準(新ガイドライン)」を導入しました。これによって、今年度の移動支援事業予算は、2016年度予算と比べ256,000千円削減されています。尼崎市は、2012年から当事者団体でつくられている自立支援協議会と何度も協議し丁寧な対応をする中で合意を得てきたといいますが、今回の見直しがそもそもの事業目的である障害児者の地域における自立生活や社会参加の後退を生んでいないか、検証することが必要と考えます。 

質問① お尋ねします。新ガイドラインの導入で、利用者や事業者から何か声があがっていますか。

 障害福祉サービスには、国の義務で行う「介護給付」という事業があります。市はこれまで移動支援事業でやっていたものの中で、「介護給付」の行動援護の範疇のものは、そちらに移行していただくとしました。行動援護とは、自己判断能力が制限されている人が行動する時に、危険を回避するために必要な支援や外出支援を行うものです。しかし、行動援護は2017年まで実施する事業所が少なく、これまで実績は「0」でした。

質問② そこでお尋ねします。行動援護へのスムーズな移行が行われていますか。このサービスを行う事業者は確保できているのですか。

 次に、報酬単価の削減についてお聞きします。身体介護を伴う、つまり肢体不自由や重度重複障害の方々の支援単価が1時間当たり1000円から1500円の幅で引き下げられました。早朝・夜間・深夜加算もなくなりました。これらは、移動支援事業をやってきた事業所にとって大きな痛手です。

質問③ お尋ねします。報酬単価の削減で、移動支援事業から撤退する事業所が出てきていませんか。それによって、障害児者の自立生活や社会参加が制限されていませんか。

 次に、相談支援事業についてお聞きします。2012年 国は原則として障害福祉サービスを申請した全ての障害者を対象として、計画相談支援を行うこととしました。介護保険でいうケアプラン、ケアマネージャーに相当するものだとイメージしていいと思います。

質問④ お尋ねします。現時点での計画相談支援の全国・兵庫県・尼崎市それぞれの到達度はどうなっていますか。また、尼崎市の場合、この事業はすべて事業者に委ねていますが、相談員の人数,計画相談支援を利用している障害者の実人数、利用していない障害者の実人数をお答えください。

尼崎市は第4期障害福祉計画を策定するために、2014年障害者アンケート調査を実施しています。その中で、「よりよく暮らしていくためには、どのようなことが必要だと思いますか」という問いに、「なんでも相談できる窓口をもっと多くつくる」「障害に応じた専門相談ができる場所をつくる」「福祉サービス利用の手続きを簡単にする」「市役所からの福祉に関する情報をもっと多く、もっとわかりやすくする」が障害の違いを超えてみなさんの共通の願いになっていました。第4期計画では、それを受けて「相談支援事業が多様化する中、保健・福祉に係る各組織が一体的かつ密接な連携の下で対応できる基幹型の相談窓口の設置が求められる」としました。そして、今年1月から保健福祉センターが市内2カ所に設置され、障害福祉サービスについてもここに集約されています。

質問⑤ お尋ねします。保健福祉センターが基幹型の相談窓口として設置され、充実が図られているのでしょうか。

 次に、介護保険優先「いわゆる65歳問題」と言われていることについてお聞きします。いわゆる65歳問題とは、65歳になった障害者や特定疾患で障害が重くなった40歳以上64歳までの障害者は、障害者総合支援法第7条の他方優先原則を理由に、障害福祉制度から介護保険制度への移行が求められるものです。厚労省が今年4月に、自宅などで暮らす障害者を対象に行った「2016年生活のしづらさなどに関する調査」の結果を公表しました。その中で、18歳以上64歳まででは本人平均月収9万円未満が2人に1人、65歳以上では3人に1人という状況でした。生活保護を利用している人の割合は、18歳以上64歳までで8.6%、65歳以上で4.1%。この調査を行った2016年12月の全国平均の保護率は1.69%だったので、いずれも全国平均を上回っています。調査結果は、障害基礎年金や老齢基礎年金などの所得補償を利用してもなお、障害者の多くが苦しい経済生活を送っている様子を浮き彫りにしています。ところが、介護保険に移行した場合サービスの利用者負担はどうなるのか。障害福祉サービスでは市民税非課税世帯は軽減対象となり、成人障害者の約9割方が「負担0」ですが、介護保険に移行すると1割負担が発生します。また、介護保険では、非課税でも単身で預貯金が1000万円を超えるとショートステイや施設サービスを利用する時、部屋代・食事代の軽減がされません。介護保険の対象になったからといって障害が無くなる訳でも収入が増える訳でもありません。利用料負担の発生や、支給されるサービスの量や質の低下など、障害者にとって生活や社会参加そのものが危うくなる問題が含まれています。岡山市や千葉市では障害者ご自身が、「人間らしく生きていくためには、介護保険への移行を一律に強制するのは不当だ」と裁判に訴えています。厚生労働省は、2007年全国の自治体に「一律に介護保険を優先しない」と通知し、柔軟な対応を求めていますが対応が様々であり、2014年に自治体に対し、制度の移行についての対応を改めて調査をしています。259自治体が回答、その内6つの自治体が「介護保険に移行しなければ一律に障害福祉を打ち切る」と回答しました。

質問⑥ お尋ねします。尼崎市はどのような回答をしたのですか。

 これで第1問を終わります。

 2問目

  報酬単価の削減によって明らかに事業から撤退する事業者が出てきています。重度知的障害者の保護者であるAさんは、「次の事業者が決まったが、ただ人が確保できれば良いと言うことではない。うちの子は慣れた支援者でなければ外出の途中で動かなくなってしまい、楽しい外出にならない」とおっしゃっています。

質問⑧ 事業者を安定確保するために、市はどんな手立てを行っていますか。今後どうすべきと考えていますか。

 行動援護について、ある事業者からは「個々のケースで移動支援なのか行動援護なのか、はっきりとした判断基準が示されていない」ともお聞きします。

質問⑨ 実態はどうなっていますか。

質問⑩ 新ガイドライン導入で利用者や事業所への影響はどうなっているのかについて実態調査を行うべきと考えますが、いかがですか。

 移動支援の新ガイドラインは、はじめから市の超過負担軽減を目指すという制約がありました。適正実施は当然求められますが、市の超過負担を強調するあまり、障害者の自立生活や社会参加を後退させてしまっては本末転倒です。身体介護を含む支援についての報酬単価の見直しをぜひすべきと要望しておきます。

 次に、相談支援事業について質問します。事業所が計画相談支援に積極的でない理由は、国の障害者福祉政策の貧困さそのものが表れているのではないでしょうか。計画相談支援の報酬だけでは事業所運営できない単価の低さ、事業所とすれば相談員を専任で雇用するのは困難で、兼務となりただでさえ多忙なのに更に仕事量が増えるとなれば、二の足を踏むのは当然です。

質問⑫ 国に対して計画相談支援の単価アップ、障害者施策全般への予算増額を求めるべきだと思いますがいかがですか。

 市としてできることはないでしょうか。計画相談支援担当がついていない障害者お二人から話を聞きました。BさんもCさんも一人暮らしで、自分に必要なケアプランは自分で立てておられます。利用していた事業所から「もう来月からサービス提供できません」と言われたら、自分で次の事業所を探さなければなりません。Bさんは、住宅改修の相談を市にしたけれど説明された内容がその都度違って、前に進められないとおっしゃっています。Cさんは、いわゆる65歳問題「介護保険への移行」についてどんな負担になるのか不安があるけれど、相談するところが無いともおっしゃっていました。

質問⑬ 保健福祉センターに配置されている地区担当が受けるべき相談ではありませんか。

 BさんもCさんも市の担当者に相談した経験があります。しかし、「それはできない。これもダメ」といったことばかりで、自分の不安や悩みごとに親身に耳を傾けてくれる対応ではなく、次また相談しようとは思えないとおっしゃっています。計画相談支援がついていない方の場合、特に地区担当がしっかりと障害者に寄りそうべきです。研修、事例検討などでスキルアップすることを求めます。

 次に、いわゆる65歳問題について質問を続けます。尼崎市は、障害福祉サービスを利用されている障害者に対して、介護保険への移行の年齢に達したとき、本人が申請しなくても「法で決まっていますから」と介護認定調査を行っています。今までは調査を拒否する方はいませんでした。

質問⑮ 今後、介護認定調査を拒否される障害者が出て来られた場合、どのように対応しますか

 障害福祉サービスには、重度の肢体不自由や知的障害・精神障害で常に介護を必要とする場合、自宅で入浴、排泄、食事、外出などの支援を総合的に行う重度訪問介護がありますが、65歳以降は、尼崎市では介護保険優先のため、要介護5の認定でなおかつ介護保険の限度額いっぱいに使って、それでも不足する時しか認められていません。限度額いっぱいまで利用する時の自己負担を考えるとそれはできない人や、要介護4でも介護保険では対応できない総合的な支援が必要な人も出てくるでしょう。

質問⑯ こうした場合、柔軟に対応するのですか。

 月6.5万円の障害基礎年金で暮らす67歳の身体障害のDさんの場合は、計画相談支援を以前から利用できており、65歳からは介護保険のケアマネに引き継がれました。リハビリのために移動支援事業を利用して、月曜日から金曜日まで毎日バスを乗り継いで身障デイサービスセンターのプールに通っています。これは無料で行け、生活のはりになっていますが、通院と週1回のヘルパーサービスは自己負担があり、介護保険料負担も追加されて「なんでもお金が必要、暮らしにくい」とおっしゃっています。歯科治療が必要だけれど通院にお金がかかるのでどうしようかと悩んでいるとのことです。Aさんは親なき後を考えて、障害のある我が子の名義で、障害基礎年金はどんなに生活が苦しくてもそれは使わずずっと貯金をしてきました。しかしこの先介護保険に移行したら、貯金があるがためにショートステイや施設利用の時軽減対象から外される、お金の切れ目が命の切れ目、この子が生きていけないと考え、親なき後の問題がさらに深刻になっているとおっしゃっています。介護保険への移行は、憲法25条で保障された人間らしい暮らしをする権利を障害者から奪うものです。

質問⑰ 介護保険優先原則をうたう障害者総合支援法第7条の規定を撤廃するよう国に求めるべきと考えますが、いかがですか。

 介護保険は社会保険で、助け合い・受益者負担の考えが貫かれている制度です。

障害者の場合は生きるために必要なもの、そのサービスが無ければ食べることも、排泄も、清潔保持も安心の睡眠をとることもできません。サービスをお金で買う制度自体なじみません。だからこそ、岡山市や千葉市で障害者自らが「人権侵害だ」と訴訟を起こしておられるのです。ある年齢に達したら、自動的に介護保険への移行が強要される障害者総合支援法第7条の規定はなくすよう、ぜひ尼崎市としても国に求めていただくよう強く要望して、私の質問を終わります。