6月議会・広瀬わかな議員の一般質問の発言です

【第1登壇】

 日本共産党議員団の広瀬若菜です。わたしは、尼崎市手話言語条例について、特別支援学校に通う医療的ケア児について質問します。1日目の林議員、2日目の藤野議員の質問と一部重複するところもありますが、ご了承頂きますようお願いします。2017年12月議会で尼崎市手話言語条例が制定されました。条例の冒頭で、言語は意思疎通に使用されるだけでなく、知識を蓄え、伝達し、文化を創造するために不可欠なものとして、また、人が個性を形成する上で重要な要素の一つであると述べられています。聴覚障害者は耳が聞こえないことで、社会とのかかわりが薄く、空気を読んだりすることが苦手だと聞きます。尼崎市手話言語条例で触れている国が制定した「障害者基本法」の目指すところは、障害があっても、一人一人が社会資源として、社会の中で存在意義を持って生きることができるようにしていくことが、これから求められる障害者支援であるとの立場で質問していきます。北部保健福祉センターでの話です。聴覚障害者の方が生活保護の窓口で「手話通訳者のAさんを呼んでください」とお願いしたところ、1時間待たされ、あげく出てきたのは同じ苗字の生活保護課の職員で「手話通訳ってなんですか」と言われたそうです。窓口の職員が手話通訳者の存在を知らなかったためです。手話言語条例では、市の責務として“手話・ろう者の理解の促進や手話の普及のための必要な施策の推進が書かれています。

Q お尋ねします。市職員だけでなく、市業務に関わる全ての職員への手話やろう者に対する理解の促進を目的とする研修の実施は、手話言語条例制定後現在までに誰を対象に、どのような内容で、何回実施されていますか?また、北部保健福祉センターでの出来事の再発防止にどのような手を打たれますか?

 次に、災害時の情報保障についてです。2017年9月実施された手話言語条例のパブリックコメントでは、避難情報などをFAXやメール、手話動画で発信してほしい、避難時には避難場所に手話通訳者や掲示板、字幕・手話通訳付きテレビを配置してほしい、市役所・警察・消防・駅などの公共施設に手話ができる人を置いてほしい、避難訓練に手話通訳者を派遣して消防・警察との連携を図ってほしいと意見が寄せられています。

Q お尋ねします。災害時、また避難訓練での手話等による情報保障はどのように実施されていますか?

 現在、聴覚および言語機能に障害がある個人には、市が手話通訳者・要約筆記者の派遣を無償で実施しています。利用できるのは、公的機関・医療機関へ行くなど、社会生活上外出することが不可欠な場合と限定されており、例えば、高齢者のゲートボール大会などの一般のスポーツ大会参加、公民館等での各種講座受講、職業安定所の利用などは手話通訳者・要約筆記者の派遣対象外です。また、障害者団体への手話通訳者・要約筆記の派遣は基本的に有償で、1名ずつ2時間来てもらって6,000円程度の負担が発生します。障害者団体は営利目的ではなく、財政的にも余裕はないと聞いています。6,000円を支出するのも大変です。それに、手話通訳者・要約筆記者の派遣が必要となるのは年1回だけでもありません。それでも団体のお金を捻出して、手話通訳者・要約筆記者を呼んでいるところもありますが、そのために本来団体がやりたいことを削っているのが実態で、無償で派遣してほしいという声があがっています。

Q お尋ねします。個人への手話通訳者・要約筆記者の派遣事業の対象とされている範囲は、わたしたちと同じように聴覚障害者が社会生活を送る上で十分だとお考えでしょうか。また、団体にも無償で派遣してほしい、という声にどう応えますか。さらに、障害者団体の活動は、障害者が自分らしく生きていく上で、どういった役割を果たしていると考えますか。

 第1登壇の最後に、特別支援学校に通う医療的ケア児について質問します。医療的ケア児とは、生活する中で鼻からチューブで栄養を摂取する必要がある子、人工呼吸器をつけている子、胃に直接栄養を送る「胃ろう」が必要な子たちを言います。24時間365日片時も目を離せないため、保護者の負担は計り知れません。十分な睡眠を取っていないと答えた保護者が9割に上る調査結果もあります。新生児医療の発達により、医療的ケアを必要とする子どもの数は増えています。一方で、その生活を支える社会の整備は大変遅れているのが現状です。現在、医療的ケア児が教育を受ける場として、特別支援学校尼崎養護学校があります。2017年尼養に通う医療的ケア児の数は小学部15人・中学部8人・高等部12人、計35人です。2018年は小学部14人、中学部12人、高等部14人、計40人で2017年度から5人増えています。尼崎養護学校の児童・生徒はほとんどがスクールバスで通学します。4台のバスに分かれ7時45分頃に最初の子どもを乗せたあとは、10ヵ所程度に停車しながら市内をぐるっと回って子どもたちを順番に乗せて尼崎養護学校まで運びます。一番最初に乗った子は、学校に着くまで1時間程度バスに乗りっぱなしとなり、障害児にとって非常にしんどい状況です。

Q お尋ねします。スクールバス運転業務委託等事業費の2017年度と2018年度の内訳をおしえてください

【第2登壇】

 ご答弁頂きありがとうございます。尼崎市手話言語条例4~6条は、市、市民及び事業者の責務を明らかにしています。事業者の責務として、「ろう者が利用しやすいサービスの提供」とありますが、事業者には障害者団体も含まれ、事業者もまたろう者です。障害者が障害者を支えるために、お金を出せ、自己責任で手話通訳者を呼べと言うのでしょうか。

Q お尋ねします。個人・団体をわけず、また障害者が自分らしく生きていけるよう、手話通訳者・要約筆記者派遣事業は予算の拡充が必要だと考えます。当局の見解をお聞かせください。

 私は、手話通訳者・要約筆記者の派遣は聴覚障害者だけのものではないと考えます。皆さん、ミーツザ福祉という企画をご存知でしょうか?「福祉にであう、福祉とまじわる」をテーマに尼崎市も関わるイベントです。この企画のワークショップで「イベントに参加する中で困ったことはありませんか?」というテーマで意見交換をしていた時のことです。一人の聴覚障害のある方が「わたしはイベントに行けばきっと困ることが起きるだろうと思って、そもそも行ったことがありません。だから困ったことはありません」と発言し、その場にいたいわゆる健常者の方は非常に衝撃を受け、こんな発言がなくなるようにしたいと強く思ったと聞きました。さらに、尼崎市の地域福祉計画の中では、災害時要援護者の支援において民生委員が支援の重要な担い手になっていますが、要援護者と意思疎通をする手段には触れられていません。現在の手話通訳者・要約筆記派遣事業は、障害者からの要請のみを前提としており、合理的配慮を行うべき主体が、その配慮を行える環境にありません。

 Q お尋ねします。市の手話通訳者・要約筆記者の派遣制度を、障害者だけでなく、市民だれもが使える制度にすることが必要だと考えます。当局の見解をお聞かせください

 2登壇目の終わりに、特別支援学校に通う医療的ケア児の予算編成について質問します。第1登壇では、スクールバス運転業務委託等事業費について、前年度と当年度の内訳を答弁して頂きました。人工呼吸器をつけた児童が昨年度小学部に2名、今年度小学部に1名入学し、看護師が1名増員されました。また、2019年1月の市内移転を機に、スクールバス1台を介護タクシーに変えるなど、通学手段を見直すと聞いています。今年度看護師を1名増やしたい、市内移転をすれば送迎バスを1台減らしても児童生徒のバスに乗る時間は変わらない。スクラップ&ビルドで看護師1名増員する予算をつくった、と聞きました。尼崎養護学校の教職員は、できるだけ児童生徒の心身に負担が少なく登校できるよう、毎年度、スクールバスの運行順番を決めています。非常に手間のかかる業務です。今年度スクールバスが1台減ると聞き、市内全域の児童生徒を、できるだけバスに乗っている時間を短くできるように回るには、どうしたらいいのかわからないという位、現場にも負担が重くのしかかっています。

Q お尋ねします。なぜこのような予算編成をしているのでしょうか

 確かに市内移転をすれば、西宮に尼崎養護学校があったときよりも距離は近くなります。送迎バスを3台に減らしても、児童生徒のバスに乗っている時間は変わらないかもしれません。でも、そこには、自分の姿勢を保持するのにも大変な体力と気力が必要な児童生徒が、1時間送迎バスに乗っていること自体、障害児にとってベストなのか、市内移転することで少しでも児童生徒がバスに乗る時間を減らせないかという視点が欠けていると思います。必要なところには予算を使うと、市当局は議会でたびたび答弁されていますが、今回のスクールバス運転業務委託等事業費の見直しでは、尼崎養護学校に通う児童生徒の心身にかかる負担をできるだけ少なくして登校できるようにすることの必要性はどう考えられたのでしょうか。市は、スクールバス運転業務委託料と看護師派遣業務委託料をスクールバス運転業務委託等事業費でまとめて予算計上しているけれど、一方の予算が増えたから、一方の予算を削らないといけないという扱いはしていないと言います。しかし、スクラップ&ビルドによって、看護師増員の予算をつくったという説明は、これと矛盾していると思います。わたしがお会いした尼崎養護学校の前校長先生は「困難なことはいっぱいある。でも徳田前教育長の口ぐせは、転んでもただでは起きない、だった。バスは減るけど介護タクシーが配置されて、医療的ケア児が保護者の送迎がなくても学校に通うこともできるようになれば、保護者の負担も減る。出来ることを探して、障害児とその家族を支えたい」と仰っていました。こうした現場の努力がいまの市の予算を成り立たせていると考えます。

Q お尋ねします。教育長はこうした実態を聞いてどう思われますか。

 他市の医療的ケア児が特別支援学校に通う予算を調べました。多くの自治体は、送迎にかかる予算はスクールバス運転業務委託に計上されており、医療的ケア児が学校に通うために必要となる看護師の予算は学校教育予算に計上され、尼崎市と違い送迎と看護師配置の予算が明確に分かれています。特別支援学校に通う医療的ケア児が増えて看護師の配置予算が増えても、送迎にかかる予算には影響していません。医療的ケア児が憲法26条に保障されている等しく教育を受ける権利を享受するためには、いまの尼崎市の予算編成では現場にも障害児にも過重な負担が発生しています。

Q お尋ねします。医療的ケア児の教育を受ける権利を保障するため、送迎にかかる予算と、看護師配置にかかる予算を分けて計上し可視化すること、また、必要に合わせて予算を増額することが必要と考えますが、教育長の見解を求めます。

【第3登壇】

わたしは、手話言語条例にある「すべて国民が障害のある人もない人も平等に生活できる社会づくりの実現」を目指す上で、次の2点が重要だと考えます。1点目は、人の善意を障害福祉の課題の解決手段にしないということです。現在、障害者団体が手話通訳者を呼ぶときに、お金が出せなければ無償でいいですよと言ってくださる手話通訳者の方もいるそうです。でも、手話通訳者は長年かけて高度な技術を習得された手話言語のプロです。そういう方に、適正な対価を支払わず、無償もしくは安価な謝礼で関わってもらえというなら、それは障害福祉がサービスとして事業化されている現在においては通用しないと障害福祉に携わる方が指摘しています。2点目は、障害福祉は障害のある人が最低限生活するだけの範囲で組まれた予算では不十分だということです。障害があることはその人個人や家族の責任ではありません。尼崎養護学校の前校長先生は「医療的ケアが必要なお子さんを抱えた保護者は、自分のせいだと周りに頼ることなく、頑張りすぎてしまう」と、仰っていました。NHKのTVシンポジウム「重い病気を持つ子の暮らしと学びをどう支えるか」という番組の中で、国立成育医療研究センター病院長の賀藤均さんは、“医療的ケアが必要な子どもについて、医療的ケア児は日本社会の課題になっている高齢社会や介護と同じように医療が発達したために生まれたものです。個人の責任やがんばりで対応するのではなく、社会的な課題として将来を担う子どもたちをもっと大切にしなければいけません。そのために政府による体制整備が欠かせません”と仰っています。尼崎市は財政的に厳しいということを、できない理由にあげますが、この議会でも、市営住宅のアスベスト対策に1億4000万円、橋の耐震補強工事に8000万円の増額補正を行っています。必要なら予算を組んでいます。 障害福祉を最低限のものではなく、誰もが自分らしく生きていくことができるよう、市長に行政の責任として必要な分だけ障害福祉に予算をつけて頂く決断を求めまして、わたしの質問を終わります。ご清聴頂きありがとうございました。