6月議会・徳田みのる議員の一般質問の発言です。

第1登壇

日本共産党議員団の徳田稔です。私は、自治のまちづくりに向けた地域振興体制の再構築、公共施設マネジメント方針の取り組みについて見解をお聞きします。

(地域振興体制の再構築)

 まず、自治のまちづくりに向けた地域振興体制の再構築の取り組みについてです。市は自治のまちづくり条例を制定し、その理念を具体化するために必要な地域振興体制を再構築する。そして①地域発意の取り組みが広がる環境づくり、②地域を支える新たな体制作り、③地域とともにある職員づくりをすすめるとしています。そして地域に関わる様々な主体の参画をえて、まちづくりをすすめるための合意形成の場となる新たな協議体を設置するものです。地域振興センターと公民館に代わる市長部局の新たな組織をつくり、地域振興機能と学びのサポート機能を融合するなど、それぞれの強みやスケールメリットを活かすとともに、職員を積極的に配置するとしています。目的別に設置している公民館と地区会館をともに学びと活動を支えるための施設として、より柔軟な利用を可能にする。さらに、施設の管理は指定管理者制度を導入するなど、職員が講座等の企画立案・実施に加え、積極的に地域に出向き、「地域を知る、地域に参画するきっかけづくり」と「次の学びと活動につなげていく働きかけ」を行う体制をつくるとしています。地域振興体制の再構築で、めざす姿のイメージとして、学びを通じて地域や社会に関心を持ち、人々がともに行動する事で、新たな気づきをえてさらに学びを深めていく。この様な学びと活動の循環は、人と人の交流やつながりを生むことにもなり、さらに、学びの成果を身近な人や地域社会に還元するような活動が活発になることは、地域の課題解決や魅力向上にもつながるとしています。一方、教育基本法12条では、国及び地方公共団体の社会教育に対する奨励や振興の責任が明記されています。この教育基本法の精神にのっとり、社会教育法第3条で、社会教育に関する国及び地方公共団体の任務を明らかにしています。①すべての国民が自ら、文化教養を高め得るような、環境を醸成するように努めなければならない、②必要な学習の機会の提供及びその奨励を行うことにより、生涯学習の振興に寄与すること、③学校、家庭及び地域住民その他関係者相互間の連携及び協力の促進に資することとなるよう努めるとなっています。そして第20条で公民館の目的がうたわれ、第21条で市町村が公民館を設置するとなっています。

Q1,まず市長にお尋ねします。地域振興体制の再構築で、学びと活動の循環で、学びの成果を地域社会に還元する活動につなげるとしていますが、この「学び」とは、どの様な学びでしょうか。また社会教育法に基づく、市の任務の遂行と責務を果たすためには、どの様な対策を講じられるのでしょうか、お答えください。

Q2,教育長にお尋ねします。この地域振興体制の再構築の中で教育委員会として、どのような役割を果たそうと考えられているのか、見解をお聞かせください。

(飯田市のまちづくりの状況)

長野県飯田市の公民館活動は、住民の主体的参画による住民自治力の土台になっているとともに、市民協働の姿勢を学ぶ職員のキャリアアップの場となり、公民館館長、主事などが、地域住民とともに考え、まちづくりを実践されています。尼崎市は、この優れた飯田市の公民館活動を、住民自治の本質と共に自治活動を支援する職員としての姿勢や、役割を体験的に学ぶとして、職員を飯田市に派遣しています。

Q3,そこでお尋ねします。飯田市に職員を派遣したことで、市長はどのような成果があったとお考えでしょうか、お聞かせください。

党議員団は飯田市に派遣された職員から報告を受けるとともに、5月に飯田市の地域自治組織制度と公共施設マネジメントについて視察をしてきました。飯田市は人口10万人の南信州の中心都市です。高齢化率31%にのぼっています。市の一般会計の予算規模は460億円です。飯田市は戦後から何度も合併を繰り返して、現在の規模に至っています。2006年に、まちづくりに関する基本的な指針を定めた、飯田市自治基本条例を制定しました。 そして、人口減少、少子高齢化に伴う地域力の低下、地域への価値観の希薄化、地域の役員負担の増大、地域活動の担い手の不足、地域活動団体の連携及び情報共有の困難さが増している。その解決として、行政と住民の協働による住民自治を拡充するために、住民が行政の意思決定に参画しやすい仕組み、行政と住民の協働を推進するための仕組みとして、地域自治組織を発足させました。そして住民自らの地域自治が大きく前進しています。 飯田市の牧野光朗市長は、前進させた秘けつとして、住民と地域共同体の当事者意識を共に高めること。そのための住民の主体的参画、自治性と価値観の共有を強調されています。そして、それをまとめられ市長が,共創の場づくりから生まれる善い地域づくりとは「円卓の地域主義」と題する本を発行されています。この「円卓の地域主義」に対して里山資本主義の著者、日本総合研究所主席研究員である藻谷浩介(もたにこうすけ)氏は、市民力ある10万人の飯田市の光輝く未来をこの本から確信したと絶賛されています。

 Q4,そこでお尋ねします。飯田市の牧野市長の著書「円卓の地域主義」を市長はお読みになりましたか。お読みでしたらそのご感想をお聞かせください。

以上で第1問を終わります。

第2登壇

 答弁をいただきました。飯田市の地域自治の取り組みを学んでいくとのことです。またこれまで公民館が果たしてきた役割は維持するということです。そして今年は武庫地域において先行的な取り組みを行っているとのことですが、それを踏まえて、第2問に入ります。

(飯田市の地域自治区とまちづくり委員会)

 飯田市の地域自治組織は、市の組織の地域自治区と住民組織のまちづくり委員会に分かれています。お手元の資料をご覧ください。20の地域自治区には自治振興センターと公民館が配置され、地域住民から選出された地域協議会があり、多様な主体による地域づくり活動への支援が行われています。一方、住民組織のまちづくり委員会には町内会から選出された人によって、健康福祉委員会、公民館・育成委員会など地域の実情に合わせて各委員会が設置されています。そして、住民が一体的かつ総合的にまちづくりに取り組むためパワーアップ地域交付金が交付されています。飯田市では、自治振興センターと公民館がすべての地区にあり、職員もたくさん配置され、それぞれの機能を果たしながら、多様な課題が、地域協議会に持ち込まれて検討され運営されています。そして地域自治組織の中で、地域振興センターと公民館がそれぞれの機能を果たしながら、それぞれの立場から地域と共に活動をしているわけです。尼崎市が地域活動を実践的に学んでいる、飯田市の公民館活動は、飯田市の地域活動にとってなくてはならない存在となっています。尼崎市でも、これまで地区会館と公民館はそれぞれの機能を発揮し、独自の活動をすすめてきました。以前は6つの公民館と16の分館があり、市民の生きがい、尼崎の文化水準を上げるものとして貢献してきました。その後、財政難もあり分館が廃止されてきました。そして地域振興体制の再構築で、今度は公民館を廃止しようとしています。しかし、これまで公民館が果たしてきた役割を維持するため、市の条例において施設の目的等を明記し、生涯教育や社会教育の発展に向けて取り組むとしています。しかし、公民館を社会教育法の規定からはずしてしまえば、公民館活動ではなく、社会教育法に基づく活動と言えません。地域振興センター・地区会館と教育委員会の公民館が独自の活動を引き続きすすめ、そして各地区ごとの協議体に課題を持ち込んで、地域振興をすすめるべきと考えます。

Q5,そこでお尋ねします。地区会館と社会教育法に基づく公民館を残して、それぞれ独自の活動進め、地域振興を図るべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

市は地域振興体制の再構築の中で、市内にある地区会館と公民館を廃止し、新しい施設にしようとしています。この新しい施設は、教育基本法第12条1項の「社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」とする規定によるとしています。一方、教育基本法第12条2項は、「国及び地方公共団体は社会教育の振興に努めなければならない」。同13条は「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育における役割と責任を自覚するとともに、相互の連帯及び協力に努める」となっています。

Q6,お尋ねします。地域振興体制の再構築による新施設の設置は教育基本法第12条1項「社会において行われる教育は国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」の規定によるものです。なぜ教育基本法第12条2項、「国及び地方公共団体は、社会教育の振興に努めなければならない」、第13条、「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携及び協力に努める」の規定によらないのでしょうか、お答えください。

(尼崎市の公共施設マネジメント方針)

次に公共施設マネジメント方針についてお聞きします。尼崎市公共施設マネジメント方針では、市の施設は建築後30年を経過したものが60%を占め、老朽化した施設の建て替えや改修が大きな課題となっています。そうしたことから方針では施設の圧縮と再編で、①35年間で床面積を30%以上削減する、②予防保全によって長寿命化をはかる、②施設の効率的・効果的な運営を行うとしています。そして、昨年、市民説明会が12カ所で開かれて、市民100人が参加しました。多くの施設利用者から納得がいかないとの声が、たくさん寄せられました。また市議会へも陳情書が提出されてきました。

(飯田市の公共施設マネジメント方針)

 一方、飯田市には753の公共施設があり、施設の55%が築30年以上となっており、尼崎と同じように老朽化が進んでいます。飯田市では公共施設に関する財政の見通しを次のように分析しています。公共施設の更新を築後60年とした場合、今後40年で2079億円、1年あたりに換算すると毎年52億円の経費が必要となります。これは過去4年間の投資的経費の建物費用は平均14億円のため、年間38億円が不足するという計算になります。そのためすべての公共施設を改修・建て替える事は、費用が莫大となり困難であります。このことは尼崎と同じであります。ところが、この後の取り組みが尼崎と大きく違っています。飯田市公共施設マネジメントの基本的な考え方では、これまで様々な課題を、関係者との協議や市民からの問題提起によって解決してきた市民力があります。そのため施設白書を基に削減目標を定め、一方的に実践する方法はなじまない、地域が主体的に考えられる環境づくりをすすめ、市民と十分な意見交換を行ってすすめるとしています。尼崎市では今後35年間で30%以上の削減目標をつくっていますが、飯田市ではあえて公共施設の廃止等の数値目標は出していません。また数値目標を設定していない中核市も、2016年度末、全国で16自治体、36%にのぼっています。

Q7,そこでお尋ねします。飯田市では削減目標を定めて一方的に実践する方法はなじまないとして、削減の数値目標は決めていません。この方針に対しての市長の感想をお聞かせください。

 この様な中で、飯田市では2015年に公共施設マネジメント基本方針を策定しました。そして公共施設に関する基本的な政策方向のみ住民に提示しています。公共施設管理の基本原則、暮らしやすい地域づくりの推進、よりよい市民サービスの推進、財政負担の軽減の基本方針を提示しています。利用者、関係団体、地域住民などにより総合的な検討をすすめるための環境をづくり、十分な意見交換により課題の解決と具体的な検討をしています。お手元の資料をご覧ください。文化・スポーツ・観光など多くの市民が利活用している施設については、目的別検討会を設置して、その施設の目的に関する利用者・関係団体・まちづくり委員会・関係部署の行政などによる全市的な視点に立って、現有する施設の長寿命化及び統廃合や複合化等の具体的検討を行っています。また市内の各地域に設置された地域に密着した様々な施設については、地域別検討会を設置し、実際に地域で使用している地域の人による、利用者の視点・地域の視点に立って施設の長寿命化、地域課題解決に向けた施設の有効活用等の具体的検討を行っています。飯田市では、公共施設をどうしたらよいのかという意思を市民自身に問いかけ、市民自らが主体的に施設の今後の方策、長寿命化、集約化・多機能化、廃止、売却、民間活力導入、新規施設などを決めている訳です。

Q8,お尋ねします。飯田市の市民力に活かした公共施設マネジメント計画を策定していますが、尼崎でも学ぶべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。

飯田市では、市民に地域の将来を自ら考えてもらう自治の取り組みを行っています。すでに2015年から19年までの5年間で14分野198施設をピックアップして、目的別検討会、地域別検討会を通じて、具体的な方向性を話し合っています。そして、地域住民との協議により、例えばある保育園については地域が出資して社会福祉法人を立ち上げ運営する、森林公園では地域が指定管理を受けて総合的に管理する、廃校した学校をまちづくり委員会が利活用などさまざまな取り組みが行われています。私は3月予算議会の代表質疑で、「公共施設マネジメント計画は、市民参加の検討会を開いて、施設の方向性を検討すべき」と求めました。市長は「これまで公募委員による市民会議を開催するとともに、パブリックコメントにおいて600件の意見を受け、市民説明会も開催してきたので、市民参加の検討会は実施しない」との答弁でした。飯田市では、財政状況から見た公共施設の適正規模にして行くために、利用者による目的別検討会、地域住民に地域別検討会で、市民目線により、市民の中で話し合い、解決の具体化を検討しているわけです。尼崎でも公共施設マネジメント計画の、個々の施設の具体的な方向性の判断は市民にゆだねるべきだと質問した訳です。

Q9,そこでお尋ねします。尼崎の公共施設マネジメント計画による長寿命化、集約化、多機能化、廃止・売却、民間活用の導入、新規施設などの判断は、市民と十分に話し合い、市民に判断をゆだねるべきと考えますが,市長の見解はお聞かせください。

以上で第2問を終わります。

第3登壇

 ご答弁をいただきました。第3問は要望に留めておきます。地域振興体制の再構築による新しい施設を設置する根拠法令は、なぜ教育基本法第12条1項のみに限定するのか疑問です。これまでの公民館が果たしてきた役割を維持していくのであれば、教育基本法第12条2項も含め、12条全体で根拠法令にすべきです。教育基本法第12条1項、「社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」なっています。2項では、「国及び地方公共団体は、社会教育の振興に努めなければならない」となっています。1項の「社会において行われる教育」ではなく、2項の「社会教育の振興」をはっきりといれなければ、これまでの公民館が果たしてきた役割を維持する事ができないのではないでしょうか。

 これまで尼崎の公民館は、社会教育法に基づいて、生涯学習の拠点施設として、地域住民の実生活に役立つ、教育・文化・学術に関する各種事業の実施及び集会の場の提供を行い、住民の教養の向上、健康の増進、文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的として活動してきました。この様に尼崎の公民館が、社会教育法に基づく教育機関であったからこそ発展してきたものです。地域振興体制の再構築で、公民館を存続させるか、あるいは新施設に移行させるのであれば、半数は社会教育法に基づく施設にすべきであります。

次に、公共施設マネジメントについてですが、施設削減の数値目標を設定しないと国からの補助金が少なくなるので、数値目標がいるとのことです。市民はすべての施設を残せと言っているわけではありません。まず数値目標ありきの公共施設マネジメントでは、市民と、とことん話し合うことができないと思います。この点では、市長の政治姿勢が問われていると思います。尼崎市は、住民自治の本質、自治力を体験的に学ぶために職員を飯田市に派遣しているわけです。その飯田市は住民の自治力を基礎にして、公共施設マネジメントを行っています。この飯田市の公共施設マネジメントのやり方を同時に学んでこそ、飯田市の住民主体の住民自治を学んだと言えるのではないでしょうか。そのことを強く求めて、私のすべての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。