12月議会での松沢ちづる議員の一般質問の発言です

第1登壇

 日本共産党議員団の松澤千鶴です。私は、高齢者の社会的孤立の問題、来年からはじまる介護予防・日常生活支援総合事業、障害者移動支援事業について質問します。

 まず、高齢者の社会的孤立についてです。国は、団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途に、重度な介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、また、今後増加が見込まれる認知症高齢者が、地域で生活が続けられるためにも、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域ケアシステムを構築することが重要だとしています。そして、このシステムは、介護保険の保険者である地方自治体が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じてつくりあげていくべきだとしています。しかし、私は、ここで疑問を感じています。介護保険からの切り口だけで、果たして人生の最後まで支えるシステムができるのかという疑問です。介護保険は自らあるいは周りの人が要介護認定調査を申請するのが入口です。自ら申請しない、周りも気づかない社会的孤立した高齢者が現実にいるではないか、そこにどのような手立てが必要かという問題意識を持っています。

 まず、おたずねします。尼崎市の65歳以上の1号被保険者数に対する要介護認定者の比率、また、認定を受けた方の何割が実際に介護保険サービスを受けているのかお答え下さい。

 尼崎だけでなく全国で、高齢者の一人暮らし世帯や高齢者夫婦世帯で、死後相当日にちが経って発見される悲惨な孤立死が発生しています。高齢社会白書という政府が毎年国会に提出する年次報告書の2010年版では、次のように言っています。「高齢者の孤立死問題については、例えば東京23区において年間2000人程度自宅で死亡しているが、この多くが孤立死であるとする調査研究や、これに基づく推計によれば全国で年間15,000人程度の高齢者が死後4日以上を経て発見されているとする報告もある。また、前述の調査では『誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見されるような孤立死が身近な問題だと感じる人』の割合は、60歳以上の高齢者の4割を超え、ひとり暮らし世帯では6割を超えている。」そして、「孤立死は人間の尊厳を損なうものであり、死者の親族、近隣住民や家主などに心理的な衝撃や経済的負担を与えることから、孤立死を、生存中の孤立状態が死によって表面化したものだと捉え、社会的孤立を問題として受け止めるべきだ」としています。

 おたずねします。尼崎での高齢者の孤立死について、これまで調査研究がありますか。

 次に、2010年度版白書では社会的孤立に陥りやすい高齢者の特徴について、①ひとり暮らし世帯、②暮らし向きが苦しい、③健康状態がよくないことを挙げています。尼崎の状況はどうでしょう。30年以上高齢者と貧困の問題を研究されている明治学院大の河合克義教授は、「ひとり暮らし高齢者出現率」という指標を使っておられます。都市や農村など生活する場所が違っても、比較できる数字のようです。その地域の65歳以上の高齢者を含む世帯に対する65歳以上のひとり暮らし世帯の割合を「ひとり暮らし高齢者出現率」とされています。すでに2015年の国勢調査の結果が出ていますので、そこから「ひとり暮らし高齢者出現率」を算出できると思います。

 おたずねします。尼崎市の「ひとり暮らし高齢者出現率」はいくらでしょうか。近隣市に比べてその値は高いか低いかお答えください。

 次に、所得についてお聞きします。2015年の国勢調査によれば、市民の平均所得は309万円です。ちなみに伊丹市は327万円、西宮市は419万円、宝塚市401万円です。近隣市に比べて市民所得が低いことが尼崎市のひとつの特徴です。では、高齢者はどうでしょうか。1号被保険者の介護保険料の階層別人数でそれをみることができます。1号(65歳以上)被保険者の介護保険料で「基準額」とされている第5段階の所得は、世帯に課税者はいるけれど本人は市民税非課税で合計所得金額と公的年金などの収入の合計が80万円以上です。本人だけの収入では生活が苦しく、家族の収入に頼る階層といえるので、第5階層から下のランクが「暮らし向きが苦しい」人たちと見ていいと思います。

 おたずねします。1号被保険者の第1から第5段階までに占める人数、割合をお答え下さい。

 続いておたずねします。尼崎市は、社会的孤立防止の対策にもなる見守り安心事業を行っています。また、いきいき百歳体操や高齢者ふれあいサロン事業を行っています。

 Q 現に実施されている見守り安心事業の対象世帯数と人数、いきいき百歳体操や高齢者ふれあいサロン事業の参加人数をお答えください。

 次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてお聞きします。市は生活支援サポーターの養成を来年度から始めるとしています。とりあえず現状の要支援の方の状況から900人程のサポーターが必要だと考えられているようですが、先行実施している他の自治体でも、サポーター養成は、まだ手が出せていない状況です。暫定期間の2年で充足できない場合が想定されると思いますが、この場合でも要支援の方からはサービス提供は求められるので、ヘルパーさんが行くことになるでしょう。

 おたずねします。サポーターが充足できず有資格のヘルパーが生活支援を行っても、報酬は2018年には90%、2019年には80%に削減するつもりでしょうか。

 次に、障害者の移動支援事業についてお聞きします。日本は、2014年国連加盟国193カ国ある中で140番目にやっと「障害者の権利に関する条約」に批准しました。この条約の締約国は、「全ての障がい者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障がい者がこの権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置を取る」ことが求められています。また、条約の20条では、個人の移動を容易にするための措置をするよう求められています。本市では国が条約を締結する以前から、障害福祉サービスについては当事者と市の話し合いをベースに進められてきました。そして、他市にはない障がい者が社会参加しやすい体制が創り上げられてきました。そのひとつが移動支援事業です。買い物や映画鑑賞、散歩、観光、行事参加など障害があるがために自分ひとりでは自由に参加できない部分を支援するものです。ところが、市は2年前「行き過ぎを是正するため」だといって、毎月サービス事業所が報酬請求のために提出する「サービス提供実績記録表」に、移動先を明記するように見直しを行いました。そして、記入された内容によっては請求が却下される事態が出てきました。

 おたずねします。当事者のみなさんの中には『なぜ障がい者は外出先まで書かなければいけないのか。プライバシーの侵害だ』と批判的意見が当然あります。障害者の権利に関する条約の主旨からいっても、移動先の記入を求めることはやめるべきです。いかがですか。

 今議会健康福祉委員会の協議会案件にあがっている移動支援事業支給決定基準案、いわゆるガイドライン(案)には、報酬単価の変更つまり報酬削減が提案されています。当局に事前に説明を求めたところ理論的には整合性が保たれているとのことですが、障害支援区分4・5・6いわゆる中重度の肢体不自由の方を支援するある事業所が試算をされました。対象者は長く座位が保てなかったり、トイレが外出先では困難だったりするので、多くが1回1~2時間程度の利用です。Aさんの場合月16回利用で報酬差額-38,200円、Bさんは月15回の利用で-30,200円、いずれも現行の37~40%カットです。事業所責任者は「今でも職員は低賃金で働いている。更に報酬削減では、人材確保が困難になる。サービスを求める障害者に必要な対応ができなくなる」と衝撃を隠せません。

 おたずねします。大幅な報酬単価削減です。これで果たしてサービス事業所が運営して行けるのでしょうか。当局の考えをお聞きします。

 これで第1問を終わります。

第2登壇

 高齢者の社会的孤立の問題から続けます。答弁から分かったことをまとめてみます。2015年国勢調査で尼崎市のひとり暮らし高齢者は28,903人、ひとり暮らし高齢者出現率は近隣市に比べて高く、34.8%です。ひとり暮らしの高齢者がたいへん多いということがわかりました。 暮らし向きについては、1号被保険者の65%が第5段階以下ということでした。尼崎の高齢者は低所得者がたいへん多いことが分かりました。 健康状態についての尼崎の特徴は、これまでの健康増進課のまとめなどで平均寿命が全国より短い、がん死亡が多いなど聞いており、決して健康的だとは言えません。これらの状況を見ると、総じて尼崎の高齢者は社会的孤立に陥りやすい条件がそろっていると言えます。それなのに介護保険のサービスを利用している人は、65歳以上の14.7%だけ。また、高高齢者等見守り安心事業で把握されている高齢者は40地区で4,339人、見守り登録希望者の12・5%のみです。行政として把握できている量が少なすぎるのではないでしょうか。

 介護保険は自ら声を上げられる人にとっては利用しやすい制度ですが、社会的に孤立した声をあげない人にとっては、制度との距離が大きいものになっています。また、介護保険制度の導入によって、高齢者福祉の行政サービスの大部分は民間事業者に委ねられました。地域包括ケアシステムの要となるべき地域包括支援センターは、12ヵ所すべてが民間委託です。地域の支え合い活動は、地域活動専門員もサポート事業も社協がやっています。

 おたずねします。市の役割は、これらを有機的に繋げるものだ言われるかもしれませんが、行政として、社会的に孤立した高齢者の声なき声を把握する力が弱まっているのではないですか。この点について、市長はどのように認識されていますか。見解を求めます。

 東京都港区の実践を紹介します。ここはひとり暮らし高齢者出現率が2015年41.6%で、尼崎市よりひとり暮らし高齢者の率が高い自治体です。2011年から2012年にかけて港区のひとり暮らし高齢者に対する悉皆調査、75歳以上の高齢者を含む2人世帯への悉皆調査を実施し、分析した結果、孤立し声をあげないひとり暮らし高齢者の存在、とりわけ、いろいろな制度を一切利用していない人が問題になりました。また、家族と同居の世帯は地域の目が届きにくく、支援が必要な世帯が少なくないことが分かりました。港区は対策として、介護保険や福祉サービスを全く利用していないひとり暮らし高齢者と75歳以上の高齢者夫婦世帯を対象に、11名の「ふれあい相談員」が1軒1軒訪問して区の福祉サービスに繋げるなどの支援を行っています。ひとり暮らし高齢者だけでも12,900人いる港区でたった11人の相談員では活動に限界はあるものの、相談員が入ることによって、地域住民が安心して問題を抱える高齢者と関わりを持つことができるようになったと報告されています。また、住民の主体的活動を束ねる社協職員からは、ふれあい相談員という専門的サービスの底支えができて、住民活動がやりやすくなったと述べています。支え合い地域ネットワークづくりの重要なポイントになるのではないでしょうか。

 尼崎市も、介護保険などを何も利用しない社会的孤立の高齢者を訪問し、必要なサービスにつなぐ相談員制度をつくるべきではないでしょうか。今後の施策として、港区のような相談員制度をつくる必要性についての市長の見解をお聞きします。

 次に介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。先ほどの答弁では、生活支援サポーターが充足できずヘルパーさんが支援すると、2019年には報酬が80%にカットされるとのことでした。

 おたずねします。サポーターの養成に責任を持つのは尼崎市であり、ヘルパー事業所には何の責任もありません。それなのに、どうして事業所の報酬削減になるのですか。理不尽です。市の責任はどう果たすのですか。

 いくつかの事業所から聞く話ですが、現状として、規模の大きい事業所はなかなか要支援の方のサービスを引き受けない。小規模程、要介護のケース紹介が少なくて、いや応なく要支援者のサービスを引き受けているとのこと。機械的に報酬を2018年90%、2019年80%にカットしていくようでは、要支援の方の生活支援を引き受けている小規模事業所は経営悪化で、消えてしまう危険性があります。そうなれば、尼崎の介護の必要量が保てません。

 おたずねします。サポーターの養成が充足するまでは、せめて報酬削減分を市の一般会計から補てんする、などして現行報酬額を維持し、市の責任を果たすべきです。市長の見解をお聞きします。

 次に、障害者移動支援事業についてです。「サービス提供実績記録表」への移動先の記入は求めず、これまでから培ってきた障害者関連団体との話し合いによる信頼関係の中で、「障害者の権利に関する条約」の理念に則った円滑な移動支援事業の展開を図ることを求めます。報酬削減については、国・県が合わせて75%を負担する介護給付サービスである行動援護への誘導を進めようとされていますが、このサービスの対象となるのは行動上著しい困難を有する知的障害児者又は精神障害者です。肢体不自由の障害児者は対象外です。移動に困難性を抱えた障がい者の外出を支援するサービス事業者が、市の施策変更でサービス提供ができなくなるようでは、これまでの本市の努力も水の泡ではありませんか。

 提案します。周知の為に実施は2017年下半期としていますが、行動援護の資格を取得する体制づくりにとても時間が足りないと思われます。実施は一定その体制ができてからとすべきです。行動援護の対象とならない肢体不自由の方への移動支援は、報酬単価のあり方を当事者や関係団体ともっと話し合うべきです。市長の決意をお聞きします。

第3登壇

  障害者移動支援事業の見直しは、給付額が同じような規模の他市と比較して突出していること、国・県の負担金が減額され、市の持ち出しが増えていることにあると思います。お金か障害者の権利擁護か、まさしく市長の政治姿勢が問われる問題です。報酬単価は現行のままにとどめ、当事者や関係団体との話し合いを続けることを求めて、私の一般質問を終わります。